中山道の宿場町・妻籠宿は、車をどちら側に停めるかによって、最初に目にする景色が変わる町です。南側の駐車場から歩くか、北側の駐車場から歩くかで、宿場町への入り方がまったく異なります。
南から入るか、北から入るかで、最初の一歩がまるで違う
妻籠宿の宿場町エリアには、車で入ることができません。訪れる方はみな、宿場の外側にある駐車場に車を置いて、そこから歩いていきます。
南側に停めるか、北側に停めるか。まずここで選択をすることになります。
南側の駐車場に車を置くと、緩やかな坂を上りながら宿場に入っていきます。最初に本陣や脇本陣が見えてきて、奥へ進むごとに町並みの密度が増していく構成になっています。初めて妻籠宿を訪れる方には、この順路がすすめられることが多いようです。景色が少しずつ姿を現していく見え方になるためです。
北側(尾又周辺)は団体バスの発着点にもなっており、ここから歩き始めると、南側とは逆に、最初から町並みの厚みに出会うことになります。
どちらの駐車場も、基本的には無料で利用できます。ただし、こうした情報は現地の案内看板で最新のものを確認するのが確実です。運営の都合で変わることもあります。
朝9時より前だけの、静かな妻籠
妻籠宿は昼になると、多くの観光客で賑わう「観光地」としての顔になります。
一方、朝9時より前は、まだ開いていない店が多く、人通りも少ない時間帯です。石畳に朝露が残る早朝の時間帯は、写真を撮る際にも人が写り込みにくく、静かな町並みを楽しめる時間として知られています。「朝いちばんの妻籠が一番きれい」と言われることもあります。
紅葉のシーズンや連休には、この昼と朝の違いがさらに大きくなります。賑わいを楽しみたい方は昼に、静けさを味わいたい方は朝9時より前に訪れるのがよいとされています。
午後4時、町がそっと店じまいを始める時間
午後4時を過ぎると観光客の姿が少なくなり、宿場全体が一日の終わりに向けて静まっていく時間帯になります。ただし、お店の多くもこの時間帯には閉まり始めるため、買い物や食事が目的の場合は、あまりおすすめできません。ただ町を眺めて歩きたい場合には、この時間帯も選択肢のひとつです。
「売らない・貸さない・壊さない」という、住民の約束
妻籠宿は、江戸時代に中山道の宿場町として栄えました。今目にしているこの町並みは、自然に残ったものではありません。
1970年代、まだ「古い町並みを保存する」という発想自体が珍しかった時代に、妻籠に暮らす方々は「売らない・貸さない・壊さない」という約束を、自分たちの手で決めました。電線までも裏道に移設し、景観を守り抜いたことで知られています。今見られている景色は、地域の人々が意図を持って守り続けてきたことで、今も残っているものです。
道が急に曲がる場所には、必ず理由がある
- 本陣・脇本陣: かつて大名や公家が宿泊した建物です。当時はここに泊まれること自体が格式の証明とされていました
- 枡形(ますがた): あえて道を鍵型に曲げてある場所です。防御のための工夫として知られています
- 水車小屋: 宿場の外れにあり、撮影スポットとして親しまれています
8km先の馬籠宿まで、歩くか、バスに乗るか
妻籠宿から南へ約8km進むと、同じ中山道の宿場町である馬籠宿(岐阜県中津川市)にたどり着きます。この区間には今も旧街道の雰囲気がよく残っており、歩いて踏破する人も少なくありません。
8kmという距離は、軽い気持ちで歩けるものではないため、シーズン中に運行される路線バスを利用する方法もあります。体力に自信がない場合は、どちらかに車を置いてバスで移動し、あとで戻ってくる方法が現実的です。
出かける前に、鞄に入れておきたい三つのもの
- 歩きやすい靴。石畳と坂道の組み合わせは、見た目以上に足への負担があります
- 折りたたみ傘。山間部の天気は変わりやすいものです
- 夏場は、飲み物を多めに。日陰の少ない区間があります
まとめ
妻籠宿は、どこに車を停め、何時に到着するかによって、見える景色が変わる町です。混雑を避けたい場合は、南側の駐車場に朝9時より前の到着が、ひとつの目安になります。

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